何物にも代え難い時間/三宮・木馬
2019年3月1日、私たちが「のんちゃん」で軽く食事を済ませた後、向かったのは木馬だった。私はノンアルコールビールを飲んでいたし、夫はビール大瓶を1瓶空けただけで、まだ酔った感じではなかったのだが、「珈琲が飲みたいだろうから」と連れてきてくれたのである。
木馬の珈琲はコロムビア・ブラジル・ガテマラ・マンデリンをブレンドしたものである。
店内でブレンドされた豆が100g400円で販売されている。深いコクと苦味をしっかりと感じられるこの珈琲は、確実にミルクと合う。実際、珈琲を半分まで飲んでからミルクを足してみると、隠れていた酸味が現れ、味がマイルドになった。私がコーヒーを好んで飲むようになってから数ヶ月経ったが、やはりまだ分からないことが多い。
そして、夫がカフェ・オ・レとセットで注文した洋梨のタルトは、洋梨のさっぱりとした甘みと、コクのあるバニラアイスがマッチして、珈琲にも紅茶にも合う一品となっている。
このケーキセットは750円だ。
ふと夫が、「君は美味しそうに珈琲を飲むよね」と言ってきた。美味しいからそういう雰囲気になるんだよ、と私は心の中で呟いた。
ゆったりとコーヒーを飲みながらジャズを聴く。そんな場所だからこの店にいつも来る。「この時間は多少お金がかかっても何物にも代え難い。無駄がない」と夫は言う。
夫が飲んでいたカフェ・オ・レは優しい味だ。次あたり頼んで飲もう。そう思いながら私はジャズの心地よさに身を委ねた。